≪光遍く照らす≫(ひかりあまねくてらす)を制作しました。
≪光遍く照らす≫ は、以前公開した作品ですが、今回新たに、高音質リマスター版の音源を制作しました。
これを機に、改めて制作の背景をまとめました。
作曲をされる方にも、また音楽をされない方にも、ご理解しやすいよう、意識して書いております。アレンジのエッセンスも感じていただけるように、音源もお聴きいただけるようにしました。是非GTMの音楽制作過程をお楽しみください。
≪光遍く照らす≫は、Audiostockから、ダウンロード販売しております。
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この記事では、≪光遍く照らす≫を制作した背景を書きます。
≪光遍く照らす≫の制作のきっかけ
制作を思い立ったきっかけ
聖林寺の十一面観音菩薩立像をテーマに、曲を作ろうと思い立ったことがきっかけで制作を開始しました。
東京国立博物館の特別展のテーマであったこともあり、その特別展のイメージを、音楽で表現してみたいと考えました。
音楽を聴いた方々が、思わず特別展に足を運びたくなるような、十一面観音菩薩さまの魅力をぐっと引き立てるような音楽を作りたいと考えました。
観光PR用の動画制作などに使えば、映像を見る人々の心をはっとさせられるような、創造的で情感豊かな音楽を作りたいと思いました。
制作の準備
制作に入る前に、まずは、聖林寺の十一面観音菩薩さまについて知識を得ようと、書籍やウェブから資料を集め、調べました。
聖林寺の十一面観音菩薩立像の一番の魅力は、美しさにあると感じました。
手や指先は、流れるような曲線の美しさがあり、観音菩薩さまがまるで本当に生きてそこにいらっしゃるかのように感じます。衣をゆったりと羽織って、ふわりと水瓶を持っておられます。
じっと見ていると、心が静かになっていくのを感じます。
仏さまのお姿は、経文の中に説かれたままではイメージしづらいものです。像の形に立体化されると、そこに本当にいらっしゃるかのようなイメージを、誰もが簡単に思い描けます。信仰心も湧きやすいです。
仏像は、人々が悟りを得るために使う道具であると、私は思います。仏像を崇拝することで、信仰心が定まり、心が整い、思いやりを持てる心の余裕ができ、個々の人々はそれぞれに幸せになっていきます。仏像は人々を幸せに導くための重要な役割を、果たしているものだと思います。
制作ノート作りをする準備段階から、十一面観音菩薩さまの写真を何度も見て、想像をふくらませて着想を得ていきました。
私が≪光遍く照らす≫で表現しようと考えたのは、宇宙、美、流麗、信仰心、悟り、不動の心、慈悲、静寂といった観念です。そのようなものを表し、聴き手に十一面観音菩薩さまに会ってみたい、と思わせられるような音楽を制作したいと考えました。
曲について
曲の構成と流れ
曲は全部で3つの場面から構成しています。
1つめの場面は、十一面観音菩薩立像の美しさを描きつつ、仏さまの世界を描いています。
フルート、オーボエ、クラリネットなどの木管楽器や、ピアノを使って、十一面観音菩薩立像の曲線の美しさを暗示しています。神秘的な空間を演出したいと考え、cmoll(ハ短調)を選びました。
ヤンキンや箏などの、アジアや日本の伝統楽器を使って、この世にはない絶世の美の世界をイメージし表現しています。
曲のメインメロディーに、中国のヤンキンを使いました。金属的で艶(つや)のある響きが、テーマをあらわすのにふさわしいと考えました。
法華経に説かれているような、仏さまがたくさんいらっしゃる世界を描くには、和楽器のみでは足りないと感じます。インドや中国やアジアの楽器を使って、流麗で荘厳なイメージを出しています。仏さまの世界には美しく素晴らしい音楽があると、様々な経典に説かれています。その絶世の美しい音楽の一端を、私なりに想像し、描いてみたいと考えました。
2つめの場面は、曼荼羅(まんだら)の世界を描いています。
聖林寺さんのウェブサイトの『星曼荼羅』という曼荼羅図から着想を得て、作曲しました。
曼荼羅に描かれた仏さまをリアルに思い描き続け、ついには自分自身と仏さまが一体化するという、神秘的な曼荼羅の儀式をイメージしながら、宇宙の真理や多次元の空間を、音楽で表現しようと試みました。
現実とは異なる空間を描くために、アジアの民俗楽器とともに、シンセサイザーを多用しています。そうして宇宙の真理をイメージしています。
紫、赤、橙、緑など多彩な色のイメージが脳裏に浮かんだため、その印象を音にしています。
特にシンセサイザーは音を加工しやすいため、エフェクトを多めにかけてそれぞれの音を作りこみました。丸みを帯びた音、鋭利な音、金属がかった音など、様々な色や形を、音で表しています。
様々な種類のシンセサイザーを使って、イメージに合う音色を探しました。そこからさらに音を調整し、加工していきました。
3つ目の場面は、多くの人々が仏さまの慈悲や大きな力に包まれ、救われるイメージを描いています。
箏と民俗楽器に加えて、弦楽器、木管楽器とともに金管楽器、打楽器、ピアノも使って、壮大なクライマックスを形成しています。
十一面観音菩薩さまや、仏さまがたくさんいらっしゃる、壮大で時空を超えた空間
光と圧倒的な慈悲の思いに満たされた空間
そのような空間をイメージし、「そこに行ってみたい」、「十一面観音菩薩さまに会いに行きたい」、という焦がれるような想いを、音楽に込めました。
タイトルについて
音楽作品全体として、十一面観音菩薩さまが人々を悟りに導くようなイメージを描いているところから、まっすぐに、「光遍く照らす」という言葉が思い浮かんだことから、タイトルを付けました。
使用した楽器
曲全体で使った楽器は、
箏2面、ヤンキン、バンスリ、シタール、サントゥール、タンプーラ、ガムラン、チャイナゴング、カーヌーン、ネイ
といった、日本を含むアジアの民俗楽器
木管楽器、金管楽器、打楽器、弦楽器、ハープ、ピアノ
といったオーケストラの楽器
シンセサイザー、ベース、シンセドラム
という楽器編成でアレンジしました。合計162トラック使用しています。
仏さまの世界を想像する際、金属のジャラジャラするような、荘厳で流麗な、金色の音のイメージが私の中にありました。灌頂幡(かんじょうばん)や梵鐘や鏧(きん)などのイメージから連想されるのだと思います。
そこで、中国のヤンキン、チャイナゴング、インドのシタール、イランのサントゥール、インドネシアのガムラン、アラブのカーヌーン、ウィンドチャイムといった、金属的な響きのする楽器を多用しました。
部分的にシンセサイザーの音を重ねて、幻想的な響きを作っています。
これにより、豪奢な雰囲気と、異次元の空間を想起させるような音楽が、立ち上がってきたように思います。
さいごに
制作中何度も、十一面観音菩薩立像や曼荼羅を見て、イメージを膨らませました。
そうしているうち、広大で神秘的な空間を臨場感高く感得できるようになり、制作中は、ひたすら仏さまの慈悲の想いや、明るく強い光に包まれているような感覚でした。
制作しながら、仏さまの世界を観想することで、あたたかさに包まれ、深く感動しました。
音楽にも、その時の私の深い感動があらわれているように思います。
≪光遍く照らす≫を聴いてくださる方々の心を、少しでも明るくできたらいいなと思いながら制作しました。
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