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ストリングスの打ち込み方法③―ストリングスパート全体の打ち込み方法― DTM初心者の方向け

 

こんにちは。DTMで日々作曲をしている、作曲家・サウンドクリエイターのGTMです。

今回の記事は、ストリングスパートの打ち込み方の第3段階として、ヴァイオリン以外のストリングスパートを打ち込むときのポイントについて書きます。

第1段階のストリングスの基礎知識についてはこちらの記事をご参照ください

第2段階のヴァイオリンの打ち込み方法については以下の記事をご参照ください

この記事は、作曲でストリングスパートを入れたいけれど、どうしたらよいのかわからない、というDTMや作曲初心者の方のお役に立てるように、なるべくざっくりわかりやすく書きます。

ちなみに筆者GTMは、音楽大学作曲科や音楽大学大学院作曲専攻で作曲を学び、その後も作曲やDTMを続けています。その経験をもとに、この記事を書きます。

目次

はじめに

作曲にストリングスパートを取り入れることができると、ポップス曲を華やかにしたり、オーケストラにして力強く勇ましい雰囲気にしたりと、表現の幅が広がります。

この記事では、弦楽5部の他の楽器(ヴィオラ、チェロ、コントラバス)を打ち込むときの、ざっくりしたポイントと、考え方のコツを書きます

始めに、ヴァイオリン以外のストリングスパートを打ち込むときのポイントを書きます。

次に、和声の勉強について書きます。

3番目に、筆者GTMが、ストリングスパートを打ち込む際に考えていることを、参考までに書きます。

ストリングスパートを打ち込むときのポイント

ヴァイオリン以外の弦楽器(ヴィオラ、チェロ、コントラバス)も、ヴァイオリンと同じ要領で、打ち込むと良いです。

ヴァイオリンの打ち込み方については前回の記事をご参照ください

ストリングスパートを打ち込むポイント
  1. 楽器の特徴を踏まえ、その楽器の良さを最大限に生かせるようにフレーズやメロディーを作る
  2. ヴァイオリンの例で挙げたことと同様に、弦ごとの音色の特徴を踏まえて、フレーズやメロディーを作る
  3. キースイッチを丁寧に打ち込む。どの奏法で弾かせたら効果が高いかをよく考えてキースイッチを打ち込む

各項目について、以下に詳しく書きます。

楽器の特徴を踏まえ、その楽器の良さを最大限に生かせるようにフレーズやメロディーを作る

楽器の特徴を踏まえて、その楽器の良さを最大限に生かせるように、フレーズやメロディーを作ることが重要

これはオーケストレーションのコツでもあります。

それぞれの楽器の特徴や、得意なこと、不得意なことを踏まえて、フレーズやメロディーを作ります。すると、曲の中でその楽器の存在や役割が明確になり、曲全体の表現力が向上します。

そのためには、管弦楽法の本を読んで、知識を学ぶ必要があります

管弦楽法の本についてはこちらの記事に書きました。

上の記事の中に書いた、筆者がおすすめする管弦楽法の本は、こちらの2冊です。



ヴァイオリンの例で挙げたことと同様に、弦ごとの音色の特徴を踏まえて、フレーズやメロディーを作る

前回の記事で詳しく書きましたが、ストリングスはそれぞれの弦ごとに、音の特徴があります

簡単にざっくり言うと、一番高い音が鳴る弦と、一番低い音が鳴る弦は、音が際立ちやすいです。

それ以外の弦は、柔らかい音がします。

そのような音の特徴を踏まえて、曲の中で目立つメロディーを聞かせたいなら、一番高い音が鳴る弦で弾けるような音で、打ち込みます。

反対に、柔らかく歌わせたいメロディーならば、中央の弦で弾くような音域で、打ち込みます。

そのように計算して音を打ち込むようにすると、各楽器の良さが生きて、曲全体の表現力が向上します。

キースイッチを丁寧に打ち込む。どの奏法で弾かせたら効果が高いかをよく考えてキースイッチを打ち込む

曲全体の中で、その楽器にどんな役割を持たせるのかを考えて、奏法を選び、キースイッチで奏法を指定します。

役割とは、例えば、リズムを刻ませたいメロディーを弾かせたいうわものとして飾りのフレーズを弾かせたい分散和音を弾かせたい軽快さを出したい、などです。

その役割にふさわしい奏法を選ぶようにすると、楽器の良さを生かした品質の高いアレンジになります。

和声を勉強すると、さらに完成度の高いストリングスパートを作れる

より完成度の高いオーケストラの弦楽5部を、作曲に取り入れるには、和声の知識があるととても役立ちます。

和声を勉強すると良い点
  • 本物の演奏に近い自然な響きを作ることができる
  • オーケストラの中で、安定感のあるストリングスの響きを作ることができる
  • 和音(タテの響き)と横の流れを、美しく響かせることができる

つまり、和声の知識を使えば、力強くしたければ力強く響かせることができ、美しく繊細に響かせたければ、そのように響かせることができます。要するに、作曲の表現の幅や、表現力が、向上します。

ただし、和声の勉強には、時間と根気が必要です。

そして、和声を勉強した結果は、すぐには作曲に反映されないと思います。時間をかけだんだん体にしみこんで、自分の作曲に反映されるものです。

しかし、和声を勉強して得られるものは、とてつもなく大きいです。

オーケストラの作曲をしてみたいという方には、是非和声を勉強することをおすすめします。

西洋音楽の長い歴史の中で、多くの音楽家や作曲家や研究家が、少しずつ積み重ねてきた知識の集大成が、和声の理論です。それを勉強するということは、ものすごく価値のあることです。つまり、和声を勉強することで、効率良く作曲技法を学ぶことができます

やみくもに音を連ねるより、理論を知って音をつむいだ方が、自分のやりたい表現ができるようになります。

歴代のクラシックの作曲家たちは、全員和声を学んでいます。和声理論を乗り越えた、新しい作品を作った作曲家も、伝統的な和声理論を学んでいます。何事も、理論を乗り越え打ち壊すには、まず理論を知っておく必要があります。

その観点からは、特に和声でなくても、ポップスの音楽理論の本を読む、というのも良いでしょう。

和声の勉強方法については、こちらの記事をご参照ください。

とは言いましたが、難しいことを考えず、和声なんか気にせず、ただただ自由に作曲を楽しむのも、素晴らしいと思います。

自分のペースで楽しんで作曲することが、一番の上達方法だと筆者は思います。「~しなければならない」とか「~べき」という考えから行うと、つまらなくなって、気力もエネルギーも止まってしまいます。作曲をまずは楽しむことが大事です。気が向いたら必要な知識を勉強すれば良いでしょう。

筆者がストリングスパートを打ち込むときに考えていること

ここでは、筆者GTM流、ストリングスパート打ち込みの、ざっくりしたポイントについて書きます。

細かく説明するとキリがないので、かなり大まかに、筆者が作曲するときに考えているポイント(どのように考え、どんな役割をもたせているか)を、ご参考までに挙げます。

ここに挙げる方法は、決して唯一絶対の方法ではありません。ご自身で本を読んだり、調べたり、実際に曲を作って、あなたなりの、あなたの曲にふさわしい、より良い打ち込み方法を、是非探してみてください。

弦楽5部の各楽器について、順に書きます。

ヴァイオリン
  • 高音域をうまく使うと効果的。盛り上がる所は、E線で弾く高音域を使うと、ぐっとくる音楽にできる
  • オーケストラとして使うならG線の低音域を使うと、かっこよさや躍動感が出せる
  • 全体を軽快にさせたいときに、ピチカートを使う
ヴィオラ
  • あまりソロ楽器としては使われない楽器
  • ベースの5度上の音を鳴らして、全体の和音を安定させる役割をさせる
  • ヴァイオリンの1オクターブ下で重ねて、メロディーラインの輪郭をはっきりさせる

など、の使い方をしています。ヴィオラは、メロディーを重ねて支える役割にも、和音を感じさせる役割にも、効果が良い楽器です。

チェロ
  • 高音域でメロディーを演奏させると、甘く柔らかい情感豊かな響きになる
  • メロディーを演奏させるのに適した楽器
  • 低音域でベースを担当させる
  • ピチカートで軽くベースラインを縁取りする
コントラバス
  • チェロの1オクターブ下で重ねる
  • ピチカートを使って、軽さのあるベースラインを作る
  • 弦楽器パート全体を安定させる役割をさせる

ストリングスパートに、キースイッチを打ち込んだ状態を、ご紹介する動画を作りました。

(筆者GTMが現在作曲中の曲の中で、実際に打ち込んだものです。曲全体は、ストリングスパートの他、和楽器・民俗楽器・オーケストラと・シンセサイザーでアレンジされています。)

動画のストリングスパートは、弦楽5部(第1、第2ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバス)で、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンは、同じパートを左右に配置しています。

ヴィオラはディビジ(パートを2つに分けている)しています。

そのようにして、ストリングスパートは、合計8トラック使って、作っています。

使っている音源の音をよく聴いて、自分がその曲全体で表現したいイメージに、もっともふさわしい音を、キースイッチやベロシティーを使って作っていくことが重要です。

キースイッチやベロシティー以外にもあらゆる手法を使って、自分の世界を表現していくと、音楽の説得力が増します。

動画のストリングスパートを使った曲の完成版が、こちらの記事より、お聴きいただけます。和楽器・オーケストラ・シンセサイザーを使用した163トラックの作品になりました▼▼

さいごに

この記事では、ストリングスの打ち込み方について、ざっくりとポイントを書いてきました。

是非あなたご自身で、管弦楽法の本や、その他音楽に関する本を読んで、調べてみてください本から知識や情報を得ることが、最も確実で効率の良い勉強方法です。

そして得られた知識や情報を、あなたの作曲に、さっそく取り入れてみてください。きっともっと作曲とDTMが、楽しくなると思います。

筆者は音楽大学の学生だった頃、管弦楽法の本を、理解できるまで、何度も何度も読みました。読んでいるうちにわくわくして、さっそくオーケストラの曲を、一カ月かけて完成させました。当時はPCを使わず、五線紙と鉛筆で作曲していました。まだ知らないことを勉強し、夢中になって曲を完成させた日々は、何よりも幸せで楽しかったです。

 DTMでの作曲を、楽しみましょう。

ご参考までに、筆者GTMがストリングスを使って作った曲です。30秒ほどの短い曲です。是非再生ボタンよりお聞きください。

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GTMのアバター GTM 作曲家・サウンドクリエイター

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