こんにちは。DTMで日々作曲をしている、作曲家・サウンドクリエイターのGTMです。
今回の記事は、ストリングスパートの打ち込み方の第2段階として、ヴァイオリンを打ち込むときのポイントについて書きます。
ストリングスパートの打ち込み方の第1段階の記事は、以下をご覧ください。
この記事は、「作曲でストリングスパートを入れたいけれど、どうしたらよいのかわからない」というDTMや作曲初心者の方のお役に立てるように、なるべくざっくりわかりやすく書きます。
ちなみに筆者は、音楽大学作曲科や音楽大学大学院作曲専攻で作曲を学び、その後も作曲やDTMを続けています。その経験をもとに、この記事を書きます。
はじめに
ストリングスパートを、曲の中で自然に響かせられると、作品の完成度がぐんと高くなります。聴いてくれる人の心にも伝わるような説得力ある音楽を作れるようになります。
そのためには、いくつかのポイントを押さえて、ストリングスパートを打ち込む必要があります。
この記事では、ストリングスの4つの楽器(ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバス)の中から、ヴァイオリンを例にとり、打ち込むときのポイントを書きます。
ヴァイオリンパートを打ち込むときのポイント
- 弦ごとの音の特徴を理解したうえで、効果的に打ち込む
- キースイッチを丁寧に打ち込む
- キースイッチを設定するために、主要な奏法を知っておく
以下それぞれの項目について、詳しく書きます
弦ごとの音の特徴を理解したうえで、効果的に打ち込む
キースイッチは、弦ごとの音の特徴を理解した上で、効果的に打ち込むことがポイント
弦楽器は、木管楽器のように低音域・中音域・高音域の面から各音域の特徴性を把握するのではなく、4本の弦のそれぞれの音の特徴を把握して、打ち込むことがポイントとなります。
ヴァイオリンは、EDMやポップスなら、うわものとして使うことが多いです。
上物として使うなら、第1弦(E線、一番高い音が鳴る弦)が、明るく輝かしく響くため、第1弦を多く使う音域で、メロディーを打ち込むと効果的です。
ヴァイオリンの高音域は、オーケストラの中でもよく響きます。
弦の名前は、音の高い方から順に、E線・A線・D線・G線 と呼ぶ
E線(一番高い音が鳴る弦):明るい、よく響く、強さがある、透明な音も出せる
A線(2番目に高い音が鳴る弦):柔らかい音
D線(2番目に高い音が鳴る弦):最も力が弱い。静かな表現に向く
G線(一番低い音が鳴る弦):よく響く。強いアクセントをつけた音は力強く荒々しく響く。よく響くため、クラシック曲では、高い音でもわざとこのG線で弾かせる指示が存在する。リズムを際立たせたり、特徴的なメロディーを弾かせたりすると、効果的。
ギターと同じように、開放弦はよく響きます。
どの音をどの弦で弾くのか、厳密にわからなくても良いです。
しかし、大まかに弦ごとの響きの特徴を考えた上で打ち込めば、その楽器の魅力的な音色を、最大に生かした音楽を作ることができます。そのようにして、本物の演奏に近い、自然な響きを聞かせることで、聞き手の心にぐっとせまる音楽が作れます。
キースイッチを丁寧に打ち込む
キースイッチを丁寧に打ち込むことは、良い作品を作るために重要です。
キースイッチでは、レガート、アクセント、スタッカート、スフォルツァンド、ピチカートなどが指定できます。
キースイッチは、ストリングス音源の種類により、多少異なりますが、だいたい以上のような奏法を、打ち込めるようになっていると思います。
奏法の指定ができないストリングス音源しかお持ちでない場合は、いずれチャンスが来た時に、是非手に入れることをおすすめします。
筆者も最初はDAW付属の、キースイッチの無いストリングス音源を使っていました。
その後、新たに音源を購入し、キースイッチのある音源で打ち込むようになりました。すると、自分の音楽を以前より鮮やかに表現できるようになり、DTMでの作曲を、さらに楽しめるようになりました。
ちなみに筆者が使ってみて、初心者の方におすすめしたいストリングス音源は、KOMPLETEに含まれている、SESSION STRINGS PRO2 です。
SESSION STRINGS PRO2 は、キースイッチの種類が充実しており、キースイッチが打ち込みやすく、音色も豊富なプリセットから選べます。また、幅広いジャンルで使える音色です。そして、初心者でも操作がわかりやすく、打ち込みやすいです。
曲全体の中での、ヴァイオリンパートの役割を考え、その役割を果たすために効果的な奏法を選んで、打ち込む
ヴァイオリンパートの主な役割は
主旋律、対旋律、和音を補填(分散和音)、リズムを聞かせる
などが考えられえます。
曲の中での役割が果たせるよう、その場面に合う奏法を選んで、キースイッチで指定する、という考え方で打ち込むことが重要です。
参考までに、筆者が実際に現在作曲している曲の、ヴァイオリンパートの、キースイッチを打ち込んだものを再生した動画と、その画像を、以下にご紹介します。
曲の中で、実際にキースイッチを打ち込み、演奏させた動画です。
ポイントは、曲全体の雰囲気を出すために、どの奏法が適しているかを考えて、丁寧にキースイッチを打ち込むことです。
曲全体で聴き、トラック単体でも聴きながら、音の効果をよく確かめて打ち込むと良いです。
また、お使いの音源にもよりますが、ベロシティーの高低で、音質も変わります。ベロシティーも、曲に適した高さに調整すると良いです。そうするとさらに曲の完成度が高まります。
DTMで打ち込むときは、どの奏法かにこだわるのでなく、ストリングス音源のそれぞれの奏法の音をよく聴いて、自分が望む音が出る奏法を選ぶ、という考え方で打ち込むと、良い結果になります。
自分の耳と感覚を頼りに、その曲のその場所に、一番ふさわしい奏法を選んで、キースイッチを打ち込む、ということが重要です。
キースイッチを打ち込むために、主要な奏法を知っておく
キースイッチを打ち込むためには、主な奏法とその効果を知っている必要があります。
まずはひんぱんに使う、レガート、アクセント、スタッカート、スフォルツァンド、ピチカートの奏法を、ざっくり理解しておくことが重要です。
レガート(legato):音の間に切れ目を感じさせないように弾く
アクセント(accento):その音を特に強く弾く
スタッカート(staccato):音をはっきり分離して弾く
スフォルツァンド(sforzando):その音に突然強いアクセントをつけて弾く
ピチカート(pizzicato):指で弦をはじく 普通右手で弾くが、左手で弾く奏法もある
ヴァイオリンには上記以外にも、様々な奏法があります。
ヴァイオリンを含む弦楽器は、オーケストラの楽器の中でも、運動能力が高いです。速いパッセージ、分散和音、同音反復、トレモロ、ハーモニクスなど様々な奏法があり、かなり自由自在に音を運動させることができます。
つまり、ヴァイオリンは、制約が少なく、だいたいのことは演奏できてしまいます。ヴァイオリンの技巧的なクラシックのソロ曲を聞くと、そのことがわかると思います。
奏法を大まかに把握したあとは、実際に演奏を聴いて、それぞれの奏法がどのように聞こえるのかを覚えると良いです。
勉強の仕方としては、クラシック音楽の独奏曲(ソロ曲)をよく聴くことです。そうすると、だんだん体に音がしみこんで、ヴァイオリンパートが作れるようになっていきます。
地道な勉強の積み重ねこそが、最も有効で効率が良い勉強方法です。
参考までに以下に、ソロヴァイオリンの曲の動画を挙げておきます。いろいろ探して、好みの音楽を見つけるのも楽しいです。
キースイッチの打ち込み方法の動画の、ストリングスパートを使った曲の完成版が、こちらの記事より、お聴きいただけます。和楽器・オーケストラ・シンセサイザーを使用した163トラックの作品になりました▼▼
さいごに
ストリングスパートの打ち込みは、この記事でご紹介したポイントを押さえれば、だいたいできるようになると思います。
あとは、どんどん曲に取り入れて実践していくと、自然に自分の打ち込み方が出来てきます。
あなたも、是非楽しみながら、アレンジにストリングスを取り入れてみてください。
ヴァイオリン以外の、ストリングスパート全体の打ち込み方法に関しては、次の記事に書いています。
ご参考までに、この記事でご紹介した、ストリングスの打ち込み方法を使って筆者GTMが制作した、和楽器と民俗楽器を使ったオーケストラ曲です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
筆者GTMは、作曲した作品を、オーディオストックにて販売しております。CMや動画、劇伴などに使える、創造性豊かで高品質な音楽作品(BGM)を提供しています。是非ご試聴いただき、お楽しみください。また、皆さまの豊かな生活に、お役立ていただけましたら幸いです。
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是非ご試聴いただき、皆さまの豊かな生活にご活用ください。
この記事のアイキャッチ画像は、
以下より使用させていただきました。
Gerd AltmannによるPixabayからの画像続けて、第3段階の、ストリングスパート全体の打ち込み方法についての記事を、
以下より、あわせてご覧ください。