【ご依頼制作】≪『ほんきもの』サウンドトラック≫を公開いたしました。
GTMは、ボイスコミック『ほんきもの』の音楽を担当致しました。
『ほんきもの』では、漫画動画BGMとして、全部で6曲の音楽を作曲しました。
全6曲を、それぞれどのような意図で作曲したのかを、簡単にご紹介します。
第1曲「始まりの日」
木管楽器と弦楽器とハープで、明るく弾むような軽快な音楽です。
新しい季節に、新しい着物への想いで胸をいっぱいにする主人公。
これから始まる出会いや、新しい経験、新しい着物が広まる未来の世界に、わくわくする主人公の気持ちを、音楽で表現しています。
第2曲「想い」
木管楽器と弦楽器とハープ、グロッケンを使った、軽快で流れるような音楽です。
主人公の純粋な気持ちや、主人公の純粋な疑問に、寄り添うような音楽にしました。
第3曲「和」(わ)
オーケストラの楽器と、「箏」「小鼓」「拍子木」といった和楽器を使った音楽です。
和の雰囲気を引き出すような音楽にしました。
第4曲「彩」(いろどり)
オーケストラの西洋楽器と、「楽太鼓」などの和楽器、「二胡」と「中国琵琶」といった中国の楽器を使っています。
着物は、異国との盛んな文化交流の中で、模倣され、日本に合うように独自な工夫を施されながら、様々に形を変えてきました。そのようなイメージが湧くような音楽を作りました。
第5曲「晴嵐」(せいらん)
オーケストラと、和楽器(20弦箏・17弦筝・13弦筝・尺八・三味線・笙・篳篥・能管・拍子木・小鼓など)を使った、勇壮なイメージの音楽です。
主人公が、新しい着物にかける情熱を、音楽で表現しています。
タイトルの「晴嵐」は、
青天の日に立ちのぼる山気。晴れた日のかすみ。山風の強いもの。
という意味を持つ言葉です。
主人公の熱意や、ストーリー全体を通じて流れる強い意志に、ふさわしい言葉だと感じ、「晴嵐」と題しました。
第6曲「天籟」(てんらい)
オーケストラと、和楽器(20弦筝・13弦筝・17弦筝・尺八・三味線・楽太鼓・鞨鼓・鉦鼓など)で、『ほんきもの』の世界を表現しています。
美しさと、力強いエネルギーが、交錯するようなイメージで作曲しました。
タイトルの「天籟」は
天然に発する響き。風が物にあたって鳴る音。
という意味をもつ言葉です。
天から響いてくるような、美しく、清々しく、力強いイメージを感じながら作曲したため、この「天籟」という言葉が、タイトルにふさわしいと考えました。
物語のエンディングシーンのこの「天籟」は、
日本の美
物語に流れる主人公の熱意
希望
未来を切り拓いていく意志の強さ
新しい世界
といったものをイメージしながら、音とエネルギーを構築するように作曲しました。
作品全体について
私はこれまで、和服について、あまり深く考えたことがありませんでした。そこで、今回の作曲のために、日本の装束に関する図鑑や書籍をいくつか読み、イメージを思い描けるように、下準備をしてから、作曲に取り掛かりました。
『ほんきもの』は、漫画作品全体に、日本らしい美しさや気品、主人公の意志の強さや、強い想いが描かれているため、それらを引き出すような作曲をしました。
西洋楽器であるオーケストラと、和楽器、中国の楽器の、3種類の文化の楽器を融合させて、『ほんきもの』の独自の世界観を、音楽で表出しました。西洋音楽の文脈の中にありますが、和楽器も中国の楽器も、それぞれの楽器の持つ音色が、音楽の中で最大限に生きるよう、実際に演奏できるような自然なフレーズを使って作曲しています。
ミックス・マスタリングの工程では、空間の広がりや、音楽の立体的な構造が引き立つよう、丁寧に制作しました。
『ほんきもの』の制作を終えて
『ほんきもの』の主人公が思い描いた、新しい未来の実現を、私も一緒に頭の中に創造し、実現を望みながら、2カ月間かけて、音楽制作しました。
戸田光祐さんの新しい着物を、多くの方に着ていただきたい。そうして多くの方々の生活や心を豊かなものにしていきたい。
そのような想いで、音を形づくっていきました。
いつも、作曲を通して私にできる事は、ごく小さな事です。
しかしそれでも、
多くの人が豊かで幸せに生きていけるような方向へ進めるよう、少しでも力になれたらうれしいと思っています。
GTMは、音楽制作のご依頼を承っております。
CM、映画、アニメ、ボイスドラマ、各種映像用BGMなど、お客様のご要望に寄り添い、長年の音楽経験を生かした、高品質の音楽を制作いたします。